生き物としての喜びを満喫したい

野生化しているニワトリが園内には沢山います。観察していると、自然の中で生活する、生き延びる術を教えてくれます。夕方になると、一斉に高い木の枝に留まり外敵より身を守っています。警戒心が非常に強く、決して私達になつこうとせず、近よっても来ませんでしたが、最近様子が違っています。

卵を抱くのも、ジャングルより私達の近くへ移動しています。パビリオンやギフトショップの近くで卵を抱いており、私達が近づいても逃げません。卵を抱き始めてから、ヒナが成長するまでは、メス鳥は人が変わったように勇敢に外敵に立ち向かい、何者をも恐れることはありません。この状態はジャングルであっても同じですが、余りにも変化の激しさに私達が戸惑います。

親が子を思う気持は何よりも強く、自分を犠牲にしてまで守りたい大切な物なのだなーと思わずにはいられません。それが地球上における生物界に生きる物としての大切な使命感ではなかろうかと思います。
一羽のニワトリが、「フルーツワールドの人達は優しいよ」と安全を確認し、ヒナを連れ近くまで来るようになると、他のニワトリが従うのは時間の問題です。昼食時間になり、バーベキューの用意を始めると、子連れのニワトリが寄って来ます。

メス鳥は自分が食べることはなく、子供達の安全と餌の安全性の確認に気をつかっています。しかし、オスの親鳥が近づく事はありません。観光客に人気のスポットがまた一つ増えた感じです。

親子連れのニワトリを写真に収めようと、シャッタをおしている光景を目にする事が多くなりました。「放し飼いのニワトリを久しぶりに見た。しかも親子連れの光景など見たのは何十年ぶりだろうか。これだけでも来たかいがあった」と感想を語ってくれた人もいました。

考えてみれば、私たちの生活環境は知らぬ間に大きく変化しているのではないでしょうか。
私たちの子供の時代と、今の子供の置かれている環境は大きく変化していることを改めて考えさせられます。 選択出来るとすればどちらの環境を選ぶだろうか。「欲しい物と食べ物を与えるか、欲しい物を自分で探させるか」の選択かもしれません。

豊かな社会といわれる現在の環境は、ブロイラーの中で管理し育てられているニワトリと同じではないかと思ったりします。子供達を見ても、欲しいものは全てあてがわれ、何一つ不自由することなく育てられているように思います。

少しでも自然の中で生活して欲しいと言う願いを込めて、子供向けキャンプ施設を模索しています。植物、動物を始め生き物をどんな環境の中で育てるか、全ての責任は飼い主にあり大人である私達にあるのではないだろうか。もっともっと自然を見つめ、生き物としての喜びを満喫したい。  今日も子供達が来てくれる。親子連れが来てくれる。何物にも変えがたい喜びを感じます。

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濱本久允

濱本久允

ハマモトガーデンズの開拓者 濱本久允は昭和22年に愛媛県で生まれました。オーナー濱本久允の自然に対する向き合い方や思いを綴ってまいります。