約40名位が雑魚寝の出来るゲストハウスが完成しました。
近年、日本から高校生の修学旅行や子供達の研修目的のグアムツアーが多くなり、私どもの施設も利用していただいております。修学旅行の生徒達には木になっている果物を直接自分で取って食べてもらったり、ジャム作り、草木染、ココナッツキャンデー作り、アイスクリーム作りの体験学習もツアーに組み入れたりしておりますが、今後完成したゲストハウスも大いに利用していただきたいと願っております。
小さい頃の修学旅行の思い出と言えば数多くありますが、その中でも一日の観光予定を終え旅館に帰ってからお風呂に入り、食事を終え、友達と皆で一緒に枕を並べて寝た夜の時間は楽しい思い出としていつまでも心に残っています。
子供達の受け入れをするにあたり、迷うことなく頭に浮かんだのは、夜皆で一緒に枕を並べて寝ることの出来る施設を作り、体験させてあげたいということでした。今の子供達の生活環境を振り返ってみると、生まれて気が付いた頃から、家庭では既に個室をもらい、プライベートという名のもとで共同生活の大切さや楽しさから切り離された生活をしているのではないでしょうか。今では修学旅行でもホテルを利用し個室に分けて宿泊していますが、皆が一緒に泊まれる教室でも体育館でも借りて寝てもいいではないかと思っていますが、無責任な意見でしようか。
私の実家がある愛媛県の小学校6年生の子供達を毎年1週間にわたり受け入れをしています。滞在中の行動内容は、野外キャンプあり雑魚寝あり、自然学習や体験、肝試しや星空観察、海水浴、現地の子供や家族を招待してのキャンプファイヤー、学校訪問、消防署見学、スーパーで買い物等々、非常に充実しております。
その子供達がフルーツワールドでキャンプをしている期間に、日本で旅行会社に勤めている友人が、高校の修学旅行予定校の担当者の方を多数連れてフルーツワールドへ視察に訪れました。子供達がゲストハウスで昼の休憩をしているところを友人と一緒に訪ねてみました。部屋の中へ足を一歩踏み入れるなり子供達の天真爛漫な声が飛び交い、底抜けに明るい笑顔が迫ってきて、その迫力とエネルギーに圧倒されました。そこに展開されている光景は自分の子供の時の光景そのままであり、それを見た瞬間にこの施設を作って良かったという喜びと同時に、いつになっても子供達の純粋な性格に少しの変わりないことを知らされた思いで、安心感と嬉しさがこみ上げてきました。
後日、友人も「あの時の子供達の楽しそうな笑顔が忘れられない」とメールを寄こしましたが、あの瞬間を目の当たりにした人は同じような感想を持つに違いありません。
現在でもフルーツワールドは多くのグアムの学校に課外事業の一環に利用されていますが、ゲストハウスは今後、実家地区の小学生を初め、グアムのボーイスカウトやガールスカウト、子供達に自然の中で遊ぶ楽しみや共同生活の大切さ等を学び体験する施設として利用して頂きたいと思っています。
アメリカ本土へ行けば週末になると自然の中で泊まって遊べる施設が数多くあり、家族や友達で楽しんでいます。日本では、自然の中で楽しむ機会が急激に少なくなってきているのではないでしようか。特に現在の若者や子育てをしている若い親御さんの中には、自然の中での生活体験がない方も多くいるのではないかと思います。いろいろな問い合わせの中で、フルーツワールドのなかには「虫がいるのですか」と言った類の質問を受けたりいたしますが、親としてどんな子育てをしていくのか、心配せずにはいられない点も多く感じたり致します。
子供の性格も生き方も、今と昔では大きく変わって来ているし、同時に子供を取り巻く生活環境も今と昔では大きく変わって来ている。しかし、子供達は昔も今も少しも変わっていない。昔の子供達は皆、時間の経つのも忘れ暗くなって親が迎えにくるまで友達と外で遊んでいた。そんな自然の中での遊びを通し、楽しさや悲しみや協調性や我慢をすることも学んできたのではないだろうか。
今の子供達は変わったと批判する前に、変わってしまった大人に求められているものが余りにも多くありすぎる気がします。ゲストハウスを作った背景には、少しでも多くの人達が自然の中で、自然と一体になり遊ぶ楽しさや大切さを味わって欲しい。そして少しでもそのお手伝いが出来ればと言う私のささやかな希望をこめております。