グアムを訪れた人はもちろんですが、グアムに住んでいる人でも、グアムには植物や木が少ないと思われている方が多いのではないでしようか。私どもを取り巻く自然環境をみますと、観光客の多いホテル街であるタモン地区を始め、グアム島の何処をドライブしてもやたらと目に付くのはタガンタガンという木が多いことでしょう。他の植物の種類は少ないので、グアム島には植物は育たないと思われても不思議ではありません。
フルーツワールドは6万坪という広大な用地に、昔からグアムで育っている木々が茂りグアムの美しい自然を残しております。今年6月には、アメリカ政府との間で「自然保護」に関する調印を致しました。この調印は、アメリカ政府の自然保護政策に基づいた園内のマスタープランからなる自然保護計画をアメリカ政府からの提案事項を受け入れ修正したことから調印にこぎつけたものです。多くの項目からなっておりますが、全て私どもが将来的に取り組みたい事項であり、更にアメリカ政府より追加補足されましたので充実したマスタープランができ上がりました。
現在、既に東京ドームの15倍の広さを持つフルーツワールドの園内から、タガンタガンの木を全て切り倒していこうという計画が始まっております。まず、園内を覆っている生命力の強いタガンタガンの木を切り倒せば、その後から昔から成育していた木の芽が出てくることを期待し、更に、そこへグアムの原生樹を植え付けして行く計画です。
食事をするパビリオンの高台から園内を眺めて頂くと、切り倒した後が良くわかりプロジェクトの進行状況が把握できます。その景色を見ていると、髪の毛が伸びてぼさぼさ頭だったのが散髪をしてもらってすっきりした感じがします。
グアム島を覆っているタガンタガンという木は、恐るべきタフで信じられない程の生命力の持ち主なのです。栄養素の無い赤土以外は岩盤でもどの土壌でも育っていきます。そんなタフなタガンタガンの木を原木にして色々な種類の果物を接木できれば最高ですが、それは夢の世界でしかないのが残念です。
タフなタガンタガンの木を絶滅させるのはまさしく根気のいる勝負です。切り倒しても切り倒しても2、3日後には一斉に芽を出し元のように茂ってきます。うんざりし、諦めてしまいがちになりますが、切った木には根があるので芽が出るのは当たり前ですが、出た芽を3、4回切り倒していくと芽が出る勢いが急激に衰えてきます。その時が宿敵タガンタガンとの戦いに勝った瞬間です。それから後はナタを使って枝打ちをしなくても草を刈るブッシュカッターで、一気に草木同様に芽を刈り取って整地していくことが出来ます。
切り倒した大きい幹はランチのバーベキューの薪や炭窯に入れて炭を作り、陶芸の窯の薪として使い、小さな枝類は切り倒したところで焚き火をして野焼きをします。野焼きをした灰は酸性化した土壌をアルカリの良い土壌に変えてくれます。そこから何十年も眠っていたグアムの原生樹の種から芽が出て来たりします。
以前は原生樹を増やすことは、グアムの自然美の一つと考えておりましたが、そんな単純な意味で無いこともアメリカ政府との会議で知らされました。ありがたい事に、グアムの自然保護に関する政府の貴重な調査資料も豊富に与えてもらいます。
原生樹を守り、増やしていくことはグアム島の全ての生き物の支えである共存共栄の原点であり、昔はどの海岸にも豊富にいた亀も帰ってくるかもしれない。そして、ヤシガニも小鳥達も増えてくるかもしれない。原生樹を守り育てることは美しいグアムの自然だけでなく楽しい夢のある仕事でもあります。
アメリカ政府(農林所)の援助によりフルーツワールドで始まった自然保護のプロジェクトは、グアム環境庁、チャモロランドトラスト、グアム大学、自然保護団体、多くの関係団体等の関係者が注目しています。フルーツワールドがどのように実行し答えを出していくか、結果を期待されています。長期的なプロジェクトではありますが、皆の期待以上に素晴らしい自然の再生が出来るという自信もあり、努力していきます。
興味のある方には現場も紹介いたしますので、ご連絡してください。