山火事を見て季節の移り変わりを知る

乾期の終りである4月になると、山火事が発生する。消えるまでほっておく。今でもグアムへ来て初めて山火事を見た時の事を思い出す。連絡をしても誰も真剣に聞こうとはせず、一人おろおろしていた時のことを。

山火事の発生する場所は、フルーツワールドから一望できるマネンガンヒルがやたらと多い。今までは自然発火だと思っていたが、最近になってハンターによる仕業だと確信するようになった。豊かな自然には動物も多く、鹿や猪が住んでいる。ジャングルへ入って行くと、動物達の道ではない人間の歩いた後がいくつもある。乾期には枯れ草が多くそれに火を付けて燃やす。火の勢いは激しく燃えるがやがて子供が泣きやむように、ほとんど夕方には消えてしまう。しかし、夜になっても真っ赤な炎の燃え続けるときもある。
山火事の後には、4日目位で草花の新芽が出だす。動物達にとって乾期の間は食べ物が不足しており、待ち望んだ食料にありつける。ハンターがワナを仕掛けるのはこの4月後半の時期しかない。5月に入れば雨も降り出し新芽が顔を出し始め、6月の雨期を向かえると豊富な食べ物がジャングルに出現する。山火事により最高のタイミングで動物達を一カ所に集める事が出来る訳だ。

山火事を見ながら、今年も乾期の終りを感じ、雨期の訪れが近いことを感じる。季節々のタイミングを外す事なく、果物や草花の手入れをしなくてはいけない。

自然の中での生活とは、このタイミングを覚えることではないだろうか。自然界とは不思議な世界で、誰も解明できない多くの植物の生態が育まれている。
水の無い乾期に火事により消滅するのではなく、新しい命である新芽がでる。誰が考えたのか不思議な世界だ。

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濱本久允

濱本久允

ハマモトガーデンズの開拓者 濱本久允は昭和22年に愛媛県で生まれました。オーナー濱本久允の自然に対する向き合い方や思いを綴ってまいります。