生き物は環境に順応する

グアムではマンサニータと呼ばれている果物の木があります。公園とか道端でも気を付けていれば見ることが出来ます。他にもストロベリーチェリー、チェリーツリー、ジャパニーズチェリー、ポップコンチェリー等と呼ばれている赤いさくらんぼです。一年中食べることが出来、同じ時期に完熟の実がある、青い実がたわわに成っている、白い小さな花が咲いているといった、日本では見ることの出来ない状態が観察されます。訪れた観光客に自分で取って食べて頂いておりますが、一粒食べると「甘い」「不思議な味」「ポップコンのよう」「おいしい」等々、誰にも喜んで頂ける果物の一つです。

果物の本などによりますと木は大きくならず、4メーター位に成長するとあります。葉は日本のさくらと同じで大きくなく、木の下は程よく太陽が差し込み涼しさを演出してくれます。園内のランドスケープもこの木を有効に配置しています。トラックターの出発するギフトショップやトイレの回りに植えて、強烈な太陽の暑さを避け木陰をつくっています。

木を観察すると、植付けした環境によりそれぞれ成長が異っています。ギフトショップやトイレの回りの太陽が降り注ぐ所に植えた木は、大きく育って10メーター以上にも伸び、傘のように枝を大きく広げてています。ジャングルの中にも植えてみました。植えるにあたり一つの実験があり、どんな成長をするのか興味がありました。太陽の注がないジャングルでの生存競争は、誰よりも早く太陽に近づく事です。それを実証するかのように、枝を小さくして真っ直ぐに伸び20メーター近くも伸びております。ナラの木の側に植えている木は、太陽に当たると所のみ枝を大きく伸ばし、木陰は極端に小さくなっています。誰も本に紹介されている木だとは気づかない成長をします。

一つの木を観察していても、多くの事を教えられ考えさせられます。決して物事を一つの概念に当てはめて考えてはいけないのではないか。 生き物は多様な生き方をし、さまざまな環境や風土や土壌などに順応し、変化し生きていかなくてはいけない。生き物である人間は更に高度で複雑な機能を持っており、表面に現れるのはほんの一部であり、毎日のように些細な事で変化し続けているのではないだろうか。

自分の身の回りにも色々なことが起きます。長年勤めていた経理担当者による不正事件が発覚し、テレビ、ラジオ、新聞等で報道されました。見える所を見て信用するしかないが、これとて環境に順応して生きようとしているのだろうか。寂しい気がする。

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濱本久允

濱本久允

ハマモトガーデンズの開拓者 濱本久允は昭和22年に愛媛県で生まれました。オーナー濱本久允の自然に対する向き合い方や思いを綴ってまいります。