季節のないグアムで、秋を感じさせてくれる”赤とんぼ”

今年も赤とんぼがグアムの空を舞いだした。毎年決まったように9月初旬に姿を見せる。今年は9月3日にフルーツワールドで赤とんぼが確認できた。この赤とんぼが南国の澄み切った空を飛び始めると、季節の無い南国でも秋の到来を感じさせてくれる。
グアムへ来て32年になるがフルーツワールドで農業を始めるまでの15年間、グアムに赤とんぼがいることに気が付きもしなかった。最初に気が付いたのはフルーツワールドの開墾を始め、毎日園内のジャングルを切り開く作業に明け暮れていた時である。回りを飛び交うとんぼを見て自分の目を疑いながらも、どう見ても赤とんぼのようであり、まさかと否定しながら赤とんぼを見続けていたことを思い出す。
日本では赤とんぼは多くの曲に歌われたり、人々に親しまれ、素敵な思い出をたくさん与えてくれている昆虫だと思う。私にとって赤とんぼは日本にだけ住んでいなくてはいけないトンボのような気持ちになるが、それは、幼いときから秋になると田んぼや至る所で飛び交い、良く遊んだ幼い時の友のような気持ちで見るからだろうと思う。グアムで飛んでいる赤とんぼを見ても、幼なじみの田舎の友達である赤とんぼが、グアムまで来て舞ってくれている。そんな気持ちで赤とんぼを見てしまう。
季節の移り変わり環境の移り変わりには、ちょうど舞台が変わり、登場人物も変わっていくように、環境に適した植物や生き物が登場してくる。自然界という想像を絶する大きなスケールの舞台で、終わりなき感動のドラマが続いていく。そのドラマは、私の悲しみや苦しさを忘れさせてくれ、安らかな幸せな気持ちにさせてくれる。赤とんぼもそんな何よりもありがたい存在である。

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濱本久允

濱本久允

ハマモトガーデンズの開拓者 濱本久允は昭和22年に愛媛県で生まれました。オーナー濱本久允の自然に対する向き合い方や思いを綴ってまいります。