復興への道

改めて自然界を見つめる機会を与えてくれた「台風」

7月の台風で「多くの物を失いましたが、逆に多くの物を得ることも出 来ました」。

植物達に励まされ、やしの木クラブのメンバーの皆様を始め多くの皆様 に励まされました。厚意に満ちた激励のお便りを頂き、人の情けの重さを知 らされました。それらを生きるエネルギーの糧として園内の復興に邁進して参 りました。心より感謝いたします。

復興資金を送って頂いた皆様にも、未だにお礼の言葉すら言っておりません。 考えもしなかった厚意に感動し、何と言ってよいか言葉もみつかりません。 いつも身の回りに置き、どれだけ励まされたかしれません。本当にありがとうございました。  早いもので台風後4ヶ月が過ぎました。その間、これから蘇るであろうフ ルーツワールドを夢に描きつつ、荒れ果てた園内を歩き回っては、いろいろな事を考 え続けました。

当初は、これだけ激しく見事と言うほかない破壊のされ方を見ていると、 逆になんだかさっぱりするものがありました。しかし、時間の経過と共に少しずつ冷静になるのでしようか、 又、働けど働けど一行に片ずかない仕事の量に、事の重大さを再認識するようにもなりました。
台風前までは、自然を保護し丹精込めて作りあげたフルーツワールドだと、 少々自負しておりましたが、今は、まだまだ自然界の掟を知らない自己満足でしかなかったような気 がしきました。

神様が未熟な私に「そんな事ではだめ、もう一度やり直せ」 と言って全てを破壊してしまったような感じがいたします。まるで、一生懸命作った料理を、 料理長が一口味わうなり「だめ」と言って、全てをゴミ箱へ捨ててしまうように。

園内を歩いていると何処からともなく「あの素晴らしい岩肌が見えないのか、 何故生かさなかった。」
「地上に張り巡らせている大きな根っ子を何故隠 す。」
「こんなところに木を植え素晴らしい奥行きを何故殺す。」と言う声が聞こえたような気 がして、そのたびに目が覚めたような感覚になり希望につながっていきました。

自然界は怖い、しかし誰よりも優しい。マンネリ化しつつある自分に忠告してくれ、 改めて自然界を見つめる機会を与えてくれ、更に挑戦させてくれる。こうした災害 の経験を繰り返しながら、自然というものを学び、身につけていかなくてはいけないのかと思 ったりいたします。
蘇り始めた園内を歩きながら、やっと一つを片付けた満足感にひたることが出 来るようになりました。これから一気に木々に花を咲かせ、果物を実らせていく作業に入ります。

どんな環境の変化が起きようと、働き続け生き続ける行為に何の変わりもなく、 やるだけの事をやらざるを得ません。頭に描いているプロジェクト―夢― が山積みです。いつまで健康で働けるのか、どこまで夢が実現できるのか、 働けるだけでも幸せだと思っております。

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濱本久允

濱本久允

ハマモトガーデンズの開拓者 濱本久允は昭和22年に愛媛県で生まれました。オーナー濱本久允の自然に対する向き合い方や思いを綴ってまいります。